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新型コロナウィルスの影響で、中国駐在員が日本に一時帰国したものの、日本における滞在が長期化する傾向が出てきています。一時帰国の期間が長期化すれば、中国での居住期間が短期化し、中国において、滞在期間が「183日未満」の非居住者に区分される場合も生じます。今回は、日中両国の所得税の納税義務者、課税所得の範囲、二重課税の態様とその排除の方法を紹介します。

日本の所得税法と中国の個人所得税法における納税義務者と課税所得の範囲の比較

日中の所得税制は概ね類似し、納税義務者を住所の有無やその国での居住期間によって、居住者又は非居住者に区分し、それぞれ課税所得の範囲が定められています。

(注)日本の居住者は、非永住者と非永住者以外の居住者に分かれ、非永住者とは、日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に日本国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人です。本稿が前提とする「居住者」は、「非永住者以外の居住者」です。

二重課税の仕組み

二重課税は中国駐在員の一時帰国の日数に関係します。

2020年(366日)を例にすると、ある駐在員が2月1日から8月2日まで日本に一時帰国し、8月3日に中国に戻り、12月31日まで中国に滞在する場合は、2020年の、中国の滞在期間が183日未満なので、中国では中国源泉所得のみが課税対象です。

一方、日本では、同駐在員の一時帰国中も、日本国内に住所(生活の本拠)を有しているわけではありません。したがって、日本の所得税法上も非居住者に区分され、日本源泉所得だけが課税対象ですので、重課税は発生しません。

しかし、同駐在員が8月2日に、中国への出向が取り消され日本に住所を有することとなった場合、同日以降は日本の所得税法上の居住者となります。このような状況で、8月以降、コロナの感染が緩和し、中国への出張に制約がなくなれば、中国での居住期間が183日以上となる場合もありえます。この場合、同駐在員は中国の居住者でありながら、8月以降は日本の居住者でもあるため、日中両国とも日中両国で生じた所得の全てに対して課税を行います。これがいわゆる「二重課税」です。

この場合、同駐在員が日中いずれの居住者かを、日中両国の相互協議で決定したうえで、居住地とされた国において外国税額控除の適用を受けざるをえません。

非居住者の給与に係る所得税の計算

中国の個人所得税法では、非居住者(ここではシニア管理職以外の非居住者を指す)の課税所得額に対し、その個人の1納税年度における中国での居住期間に応じ、複数の所得税の計算式が定められています。

例えば、居住期間が「90日超183日未満」の場合の計算式は以下のようになります。

 

当月の給与の帰属する勤務期間
における中国国内での勤務日数
当月の課税所得税額

(当月の給与所得)

当月の国内外の給与総額  ✕
当月の給与の帰属する勤務時間の日数

 

日本への一時帰国期間中においては、「中国国内での勤務日数」がゼロなので、該当月の課税所得税額もゼロという計算になります。

 

年間183日以上中国に居住する個人は、本文の表に示したとおり、原則として居住者に区分されますが、中国国内に住所を有しない場合には、特例的に非居住者としての課税を受けることが認められます(2019年35号公告)。この取扱いの適用が認められれば、納付済みの税額の全部または一部が還付されますので、本文で述べた相互協議による居住地決定の煩雑なプロセスを経ることなく、二重課税の排除が可能になると思われます。

 

◆ 情 報 提 供 :太陽グラントソントン(グラント・ソントン 加盟事務所)

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