scroll_bottom scroll_top

企業は様々な目的でM&A(買収・合併)を行います。M&Aでは、買主である企業が、その実施にあたり、対象会社の事業内容や権利義務関係の把握、企業価値の評価、必要な手続の把握等を目的とするいわゆるデューディリジェンスを、国内外の専門家に対価を支払って委託することが一般的に行われます。

デューディリジェンスの種類

デューディリジェンスには、過去の税務上の問題やリスクを調査する税務デュ―ディリジェンス、決算書の財務データから業績動向や収益性を査定する財務デューディリジェンス、そのほか人事デューディリジェンス、ビジネスデューディリジェンスなどの種類があります。

合併におけるデューディリジェンス費用の取り扱い

適格合併の場合、被合併法人から資産の移転を受けたときには、その資産の帳簿価額を引き継ぐこととされ(法法62の2①、法令123の3③)、その資産が減価償却資産の場合には償却の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額については、被合併法人がその適格合併の日の前日の属する事業年度においてその資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額と合併法人がその資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額とされています(法令54①五)。

国税庁は、合併にあたり支払ったデューディリジェンス費用が、被合併法人の事業内容等を把握するための業務委託に要する費用であり、合併により移転を受ける個々の資産の減価償却資産を事業の用に供するために直接要した費用には該当しないと考えられるため、合併が、適格合併に該当するか否かにかかわらず、移転する減価償却資産の取得価額には含まれないとの考え方を示していますi

また移転を受ける資産に棚卸資産がある場合にも上記と同様にその取得価額には含まれないとしています。

株式譲渡の場合におけるデューディリジェンス費用の取り扱い

M&Aを対象会社の株式取得によって行う場合、株式の取得価額は株式の購入代価です。購入手数料その他の有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用を加算した金額の合計額とされています(法令119①一、法基2-3-5)。

M&Aにおいて有価証券の購入のために要した費用に、デューディリジェンス費用が含まれるかどうかの疑問が生じますが、株式取得の意思決定後のデューディリジェンス費用は株式の購入のために要した付随費用として取得価額に算入されることになるとされていますii

この「意思決定」について過去の国税不服審判所の裁決iiiにおいて、①請求人は臨時取締役会において本件株式を取得する旨を決議している②財務調査を依頼する事務所との業務委託契約書において、調査目的は株式の買収について意思決定の参考にすることとされていることから、「本件財務調査が本件株式の買収について意思決定の参考にするために行われたものと認められることからすれば、特定の有価証券を購入することを決定後に当該有価証券の購入に関連して支出される費用に該当するから、有価証券の購入のために要した費用として本件株式の取得価額に算入されることになる」としています。

したがって、M&Aを株式取得により行った場合には、その支払ったデューディリジェンス費用が、購入のために要した付随費用に該当するかどうかは、M&Aの意思決定に関する時系列的な事実関係に依拠するものと考えられます。

 

外国企業の買収が日本企業の外国子会社を通じて行われることもありますが、シンガポールではM&Aスキームといわれる制度ivがあります。その制度では、2020年3月31日までの間に行われるM&Aにおいて一定の要件を満たす場合には取得価額の25%を損金の額に算入することを認めています。

 

―――――――――――――――

ⅰ.国税庁HP>質疑応答事例>法人税>合併に伴うデューディリジェンス費用の取扱い

ⅱ.税務通信3247号 ショウ・ウインドウ

ⅲ.国税不服審判所 福裁(法)/裁決番号平210012, 裁決年月日平220208・一部取り消し

ⅳ.Inland revenue Authority of Singapore

https://www.iras.gov.sg/irashome/Businesses/Companies/Working-out-Corporate-Income-Taxes/Claiming-Allowances/Mergers-and-Acquisitions-Allowance/。

 

◆ 情 報 提 供 :太陽グラントソントン(グラント・ソントン 加盟事務所)

お問い合せ内容

お問い合わせ種別
社名
部署名
氏名
ふりがな
お電話番号 - -
メールアドレス 確認のため、もう一度入力してください。
住所 -

個人情報保護方針
当社は、税務関連における機密性の高い個人情報を保護することが重要な責務であることを認識し、その取り扱いについて次のように定めます。当法人は、本人の権利を保護するために、個人情報に関連する法規制等を遵守するとともに、以下に示す方針に基づき個人情報保護マネジメントを構築します。

  1. 個人情報は、利用目的の範囲に限定して、適切な取得・利用・提供し、目的外利用を行わないことと併せて、そのための措置を講じます。
  2. 個人情報の漏洩、滅失又はき損等のリスクに関して、事故等の未然防止策及び是正に関する対策を実施し、個人情報に関するセキュリティー体制を継続的に向上させます。
  3. 個人情報に関する法令、国が定める指針その他の規範を遵守します。
  4. ご本人から当該個人情報の開示、訂正、削除、利用停止の要請及び苦情相談については、下記窓口で迅速に対応致します。
  5. 当法人は、全従業者に個人情報保護の重要性を認識させ、個人情報を適切に保護するための個人情報マネジメントシステム(当法人が保有する個人情報を保護するための方針、規程、基準、組織、計画、実施、監査および見直しを含むマネジメントシステム)を策定し、実施し、維持し、継続的に改善します。

本方針は、外部公開するとともに全従業者に周知し、各自の教育、啓発に努め個人情報保護意識の向上を図ります。本方針並びに個人情報に関してのお問合せ・ご相談・苦情等は、株式会社エムズ・コンサルティング(TEL.03-5797-8648)迄、ご連絡をお願いします。

カテゴリー: