親族から財産を相続しても、日本の相続税は高く、相続税を支払うために泣く泣く相続財産を手放したり放棄するという話を聞きます。本当に資産家にとって頭の痛い相続税の問題ですね。
でも、日本のみでなく、相続税(もしくは、それに相当する税金)は、英国、フランス、ドイツ、米国などの国にも存在します。
今回は、日本の相続税とアメリカの遺産税の違いについてお話します。
目次
アメリカ版相続税?遺産税とは?
日本の相続税にあたるアメリカの税金は、遺産税 (Estate Tax)といい、国(アメリカ)の税金(連邦遺産税)です。州の税金は別途発生し、州によってルールが異なります。
この遺産税は、アメリカ国籍でなくても、被相続人(故人)がアメリカに住んでいたりアメリカに財産(不動産など)を持っていた場合にも課税される場合があります。
日本の相続税とアメリカの遺産税の根本的な違いは、日本の相続税は、相続人(相続を受けた人)に所得があったとして、課税します。しかし、遺産税は、被相続人(故人)の亡くなる前の所得(財産)を清算するのが目的です。
相続税と遺産税(連邦遺産税)の基礎控除額はどれくらい違うのか?
基礎控除とは相続税を計算する際に遺産総額(※課税対象外を除いた金額)から、税金の負担を減らしてくれる(控除できる)金額のことです。日本の相続税とアメリカの遺産税の基礎控除の違いについてみていきましょう。
日本の相続税の基礎控除
日本の相続税の基礎控除額は、遺産総額3,600万円未満であれば非課税になります。つまり、相続人が1人で、遺産総額が3,600万円未満なら非課税、相続税がかからないということです。
そして、相続人が1人増えるにつき600万円ずつ、基礎控除が増えます。例えば、3人の相続人がいるのでしたら、3,600万円に600万円×2を足した遺産増額4,800万円が基礎控除額になります。
※日本の相続税 基礎控除額:3,600万円 + (600 万円 × 法定相続人の数)
アメリカの遺産税(連邦遺産税)の基礎控除
アメリカの遺産税(連邦遺産税)の基礎控除は、2022年現在、1,206万米ドル(日本円で約16億円)です。
連邦遺産税は、国(アメリカ)に支払う税金です。州によっては、州遺産税または州相続税のどちらかがあります。州遺産税は、故人の生前所得を清算するものであり、州相続税は、日本の相続税と同様、相続人に課税される税金です。
州によって基礎控除額も異なりますので、アメリカの不動産などを購入する場合は、連邦遺産税のことだけでなく、財産所在地の州のルールも把握する必要があります。
遺産税(連邦遺産税)対象の日本人ってどんな人?
まず、遺産税(連邦遺産税)対象者とは、アメリカにある遺産税対象財産が基礎控除額の$1,206(2022年現在。日本円で約16億円)を越える人たちです。
それを前提として遺産税(連邦遺産税)対象の日本人についてお話します。
※前提:遺産税対象財産が基礎控除額の$1,206万米ドル(日本円で約16億円)を越える。
1.被相続人(故人)が日本在住
被相続人(故人)が日本に住んでいてもアメリカに遺産税対象財産があれば、遺産税の対象になります。遺産税は、アメリカの遺産税対象財産の税金なので、日本の相続対象の財産は課税対象にはなりません。
しかし、アメリカにある財産に対して、アメリカの遺産税と日本の相続税の両方が課税されてしまいます。それを避ける方法は、こちら「忘れちゃいけない外国税額控除」をご参照ください。
2.被相続人(故人)が日本国籍でアメリカ在住
日本国籍の被相続人(故人)がアメリカに住んでいる場合、相続人が全員日本に住んでいたとしても、被相続人の「アメリカにある財産」も「日本にある財産」も遺産税の対象です。
そして、上記1.と同様にアメリカにある遺産税対象財産に対し、アメリカの遺産税と日本の相続税が二重課税されるので、外国税額控除が適用されます。詳細は、こちら「忘れちゃいけない外国税額控除」をご参照ください。
海外資産の税に関するサポートは税理士法人エムズ・インターナショナルへ
今回はアメリカ版相続税、遺産税について触れてみました。日本の相続税は、全て国税ですが、アメリカの遺産税は、連邦(国)と州に分かれていて、やや複雑ですね。
アメリカで財産を購入する場合は、他の国と同様、その土地の税金のルールをしっかり確認することが大事ですね。また海外資産に対する日本の税制についても把握する必要があります。
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