プライベートバンクとは、富裕層の資産運用だけでなく、相続対策、事業承継、税金対策など、資産に総合的に対応をしてくれる金融サービスです。
「バンク」とは言っても、私たちが普段使っているお金の出し入れをしたりする銀行とは異なり、富裕層向けに金融商品をカスタマイズしたサービスを提供するなど特別な総合金融サービスを行う機関です。
実際、プライベートバンクでは、どのようなサービスがあるのか、どうやって口座開設が出来るのかなど詳細をみていきましょう。
目次
プライベートバンクって何をするところ?
プライベートバンクは、世界中の王族、貴族、企業経営者を含む富裕層の個人を対象に莫大な資産管理・運用、相続等の総合的な金融サービスを提供する機関です。
プライベートバンクの発祥はスイスで、超富裕層向け資産管理サービスを提供しています。
既にある莫大な資産を守ることはもちろん、それをさらに運用し増やし、次世代につなげる重要な役割・使命を持っています。
プライベートバンカーは、プライベートバンクで顧客の資金運用や相続のサポートを行う専門家です。
プライベートバンカーは、顧客にあったオーダーメイド型の金融商品を販売・提供し、為替や株価の変動が起こった場合は、迅速に相談に応じます。
事業継承、事業再構築などのコンサルティング、相続対策、ご家族の留学のお手伝い、最先端医療施設の紹介など、金融関連以外の相談にも対応する総合金融サービスです。
富裕層特有の悩みや要望に寄り添い提案をする専属バンカーと顧客は、硬い信頼関係を築き上げることが多く、海外では顧客との付き合いが一代で終わらず、子や孫の代まで続く場合も少なくありません。
プライベートバンクのサービスを提供する会社
プライベートバンク、と一言に言っても、プライベートバンクだけを本業にしている会社もあれば、融資や預金といった商業銀行業務も行っている会社、M&Aや資金調達などのサービスを提供する投資銀行業務も行っている会社、どちらも行っている会社、と様々です。
プライベートバンクだけを本業にしている会社の代表格が、ロンバー・オディエ(スイス)、ピクテ(スイス)、どちらも行っている会社の代表格が、モルガン・スタンレー(米国)、バンクオブアメリカ(傘下にジュリアス・ベアを持っている)、JPモルガン(米国)、シティ(米国)、ゴールドマン・サックス(米国)、クレディスイス(スイス)、UBS(スイス)などです。
どちらも行っている会社は総合型の金融機関で、プライベートバンクのサービスを、ウェルスマネジメントというように呼ぶことが多いです。
ちなみに、この10年ほど、日本の銀行や証券会社が強化しているプライベートバンクサービスは、欧米系のプライベートバンクのサービスとは異なると言われています。
違いがあるとすると、日系のプライベートバンクサービスは、歴史が浅く、富裕層からの認知やサービスへの理解が十分ではないため、特別な総合金融サービスを提供するというよりも、汎用型の商品の提供にとどまることが多いとも言われています。
プライベートバンクの口座開設はどうやってするの?
プライベートバンクの口座開設には、どんな条件があるのでしょうか?
富裕層向けの金融サービスなので、ある程度の資産額が必要なのは想像できますが、実際、口座開設したい場合はどうすればいいのか?口座開設可能な資産額はいくらからなのか?をお話します。
プライベートバンク口座開設を助けるエクスターナル・マネジャー!
プライベートバンクの口座は、資産があれば誰でも開設出来るわけではなく、まず信用のある人物からの紹介が絶対に必要になります。
そして、必要書類は、全て英語で記載されているため、口座開設には高い英語力も求められます。
そこで助けになるのが、エクスターナル・マネジャー(external manager)なのです。
エクスターナル・マネジャーとは、簡単にいうと富裕層とプライベートバンクの仲介役です。
前述した通り、プライベートバンクの口座開設は必ず誰かからの紹介が必要になります。
エクスターナル・マネジャーは、富裕層にプライベートバンクを紹介し、口座開設完了までお手伝いしてくれます。
エクスターナル・マネジャーは、口座開設希望の富裕層と面談し、所有資産の詳細(規模や内訳、資産証明)、口座開設の目的、職業、家族構成、過去の投資内容、資産運用の目的、リスク許容度など細かく聞き出します。
その後、推薦状を作成しプライベートバンクに紹介するという流れです。
プライベートバンクに口座開設依頼するまででも結構な時間と手間がかかります。
ただ、最終的な審査は、プライベートバンクがするので、エクスターナル・マネジャーに推薦状を書いてもらったとしても、100%口座開設が保証されるとは限りません。
このようにエクスターナル・マネジャーからの紹介だけではなく、プライベートバンク自体が、顧客となりうる富裕層を開拓することにも、積極的です。
必ずしも、エクスターナル・マネジャーから、顧客になりそうな富裕層ばかりを紹介されるわけではなく、預かり資産を増やすために、自らが顧客になりそうな富裕層を探して、アプローチすることも積極的に行っています。
コロナ前は、顧客になりそうな日本人富裕層を開拓するために、アジア、特に、香港、シンガポールにあるプライベートバンクのバンカーが、足しげく日本に来ていました。
プライベートバンク口座開設にはどのくらいの資産が必要?
各プライベートバンクは、口座開設の資産額基準というのは、公表しておりませんが、少なくとも1億円以上だったり5億以上の資産が必要といわれております。
しかし、プライベートバンクによって口座開設に必要な資産額基準は様々で、プライベートバンクによっては、資産額10億円以上というのが、口座開設の条件というところもあります。
もしも、資産額が口座開設条件を満たしていなくても将来的な可能性を評価し、口座が開設できる場合もあります。
3,000万米ドル以上という高い口座開設の資産額基準を定めているプライベートバンクもあります。
富裕層の莫大な資産を運用・管理する総合金融サービスのプライベートバンクを選ぶ際、価格やサービスもとても大事なことですが、結局は、どれだけ担当バンカーと信頼関係を作れるか?がポイントになります。
プライベートバンクは、「プライベートバンク(バンカー)へ人生を預ける」と言っても過言ではないほど、金融サービスを通して顧客の人生に関わります。
資産を守り運用するためにも、真摯に顧客に寄り添い続けてくれるプライベートバンクと付き合いたいですね。