これまでアメリカ不動産投資は、個人の節税対策として、考えられることが多かったのですが、2020年の税制改正で海外に所有する中古物件で収入を得る場合、不動産所得に生じたマイナスを、損益通算して所得を減額することができなくなりました。
これにより、人気だったアメリカの不動産に投資をする人が減るかと予測されたのですが、まだまだアメリカ不動産投資は人気です。
それはどうしてなのか「節税」に観点をおいて見ていきましょう。
アメリカ不動産投資の節税メリットってなに?
アメリカの不動産は、長く所有すれば不動産価値が上がるという認識があり、手入れが良く届いた中古物件は人気があるので、購入したときよりも高値で売れるということが多くあります。
日本では、一般的には、年月が経つにつれ不動産価値が下がるので、国が違うとはいえ、文化の違いに驚かされますね。
アメリカで不動産を購入し、売却時に高値で売れるのならキャピタルゲインを目的に投資をしても良さそうですね。
キャピタルゲインとは、購入時よりも売るときの方が高く売れた場合、その差額から得られる額のこと(売却益)です。
実際、このキャピタルゲインを目的にアメリカで不動産を購入する人はもちろん沢山います。
でも、もっと魅力的なアメリカ不動産のメリットは、節税にあるんです。
アメリカ不動産の減価償却費の建物割合が高い!
減価償却費とは、通常、土地を除く「資産」は、使い続けるうちに価値が下がります。
こうした資産価値(価格)の低下を事前に考慮し、使用可能な期間に従って見積もった費用のことです。そして、この減価償却費は、経費となり節税に結びつくのです。
アメリカで不動産を購入した場合も、土地は、減価償却費となりませんが、建物は認められます。なので、不動産を購入した際、土地に対して建物の割合が多いほど、経費として認められて節税効果があります。
日本で不動産を購入した際、土地と建物の評価割合は、おおよそ6から8:2から4(土地:建物)となり、土地の評価が断然高いです。
しかし、アメリカ不動産の場合は、日本のほぼ逆、2:8(土地:建物)となります。
例)1億円の不動産を購入
●日本・・・20%の2,000万円を減価償却費として認められる
→ 税率30% → 600万円の節税
●アメリカ・・・80%の8,000万円を減価償却費として認められる
→ 税率30% → 2,400万円の節税
日本は、600万円の節税、アメリカは、2,400万円の節税の効果があるので、差額は1,800万円です。こんなに税金が戻ってくるなんて驚きですね!
文化が違えば、資産の価値感・考え方も様々ですが、節税額までこんなに変わるんですね!
加速度償却を利用しよう!
加速度償却は、資産の耐用年数中の早い年度に比較的多くの金額を割り当てることにより、減価償却への資産原価の割り当てを加速する償却法です。つまり、通常の耐用年数よりも短い期間で減価償却を行うことを制度のことです。
加速度償却の利用は、法人のみに適用されるメリットです。個人のアメリカ不動産投資には、適用されないので注意が必要です。
日本は、耐用年数を越えた物件を購入した場合、償却期間は、耐用年数×0.2=年となります。
例)築30年の木造物件を購入する場合(※木造物件の耐用年数は、22年)
22年×20%=4年
償却期間は、4年となり、耐用年数22年よりも短期間で償却できます。その制度を加速度償却といいます。
日本と違って、アメリカは中古物件の人気が高いです。
しっかりと手入れをされていて状態がよければ、古い物件であっても関係なく売買され、実際に購入希望者が多くいます。
中古物件でしかも築年数がたったものはそれだけ償却期間が短くなり、節税効果もUPというわけです。
【参考】日本とアメリカの法定耐用年数
日本
・新築木造:22年
・新築レンガ造:38年
・RC構造:47年
アメリカ
・居住物件:新築中古全て27.5年
・商業物件:新築中古全て39年
まとめ
アメリカの不動産投資は、トータル収支で考えることが大事です。
減価償却費計上により、節税できたが、その先、賃貸収入が芳しくない…ということもあり得るのです。
目先の収入にばかり目を向けず、広い視野を持って投資されることをお勧めします。
また、日本に居ながら、アメリカに不動産を持つということは、ハードルが高そうですが、節税効果もあり、仲介業者も存在します。
資産運用を考えている方は、アメリカ不動産投資も選択肢にいれてみてはいかがでしょうか?
不動産投資に関する税金の疑問・お悩みは、税理士法人エムズ・インターナショナルまで是非、お問い合わせください。